top of page

道内住宅関連企業モンゴル参入への道/現地視察ルポ④

10 分前
読了時間: 4分

 冬の大地を覆う煤煙と、怒涛の住宅ラッシュ―。北海道と同じ寒冷地でありながら、未成熟なインフラに悩むモンゴルの首都ウランバートルが、巨大な再開発の波に揺れている。北海道住宅産業新聞社は9月9日~12日、北海道建設新聞社との共催で「モンゴル住宅視察ツアー」(団長・加藤修札幌市副市長)を実施。道内の住宅関連事業者ら18人の一行で現地を視察し、ビジネス参入の可能性を探った。


 市内も郊外も建設ラッシュ


 ウランバートルをバスで移動すると、集合住宅の建設現場の中を進んでいるような錯覚を覚える。ルポ第1弾で市街地周辺をスマートシティーに造り替える「20分シティー」の国家プロジェクトに触れたが、それに限らず市内も郊外も建設ラッシュが続いている。


 高さ制限などの影響でRC造の9階建てや16階建てが多く、低層のものは基礎と柱の間にブロックを積んで壁にする工法が目立つ。住居事情に詳しい関係者によると「途上国によくある建て方」。ツアー参加者からは「地震がないから成り立つ」という声が挙がった。


 建設ラッシュには波があった。最初は民主化前の1960年代~80年。ソ連主導でプレハブ式のコンクリートパネル住宅が量産された。次の波は2010年代で、鉱山バブルに乗じ民間業者が多数参入。近代化、省エネ化が必須となった近年は、主にモンゴルの大手ゼネコンが工事を主導。セメントは自国製、その他の建築資材は中国などの外国製建材を中心に、使い分けて建てているという。


LIXILのブランド展開


 波を乗り越えながら事業展開してきた日系企業の一つが、LIXIL(東京)だ。商業施設の壁面にオレンジ色の社名ロゴが光る。11年に誕生後、ドイツの水栓金具メーカー・グローエを子会社化。同社の一ブランドとして、高性能の金具やシャワーヘッドなどをモンゴルで販売してきた。ドイツの工場で製造し、海上輸送と陸送を組み合わせて運ぶ。21年からはLIXILブランドとしても参入し、マルチブランド展開している。


 同社関係者は「主に新興住宅市場がターゲット。開発規模が大きく、需要も大きい」と説明する。ただ「グローエの成功が、水回り以外のブランドの成功に直結するわけではない。住宅建材のセグメント、販売チャンネルはそれぞれ違うので、一つ一つ戦略を練る必要がある」と指摘。ここまで対象を絞った形で事業展開し、利益を生んできたという。


 ある関係者は「日本製のトイレなどを設置したマンションは商品力が上がる」と指摘する。強みのある建材を供給するという選択肢は、やり方次第で成り立ちそうだ。


ドイツの断熱リフォーム


 外国からの別のアプローチとしては、ドイツ国際協力公社(GIZ)が取り組む中古住宅の断熱リフォームがある。日本の国際協力機構(JICA)と同様の機能を持つ同公社のホームページによると、ウランバートル住民の約20%は旧ソ連製のパネル住宅に居住。熱損失とカビの問題を解消するため、2027年までの期限付き「リペアプロジェクト」として取り組んでいる。


 道内住宅関連企業によるビジネス参入の可能性を考えると、戸建て住宅を輸出、あるいは現地の施工会社に委託して建てるのはハードルが高い。公的援助を受けながら現地生産工場で組み立てるか、優位性のある特定の建材、設備に絞って供給するか。あるいは活況な不動産業界で勝負するのか。


いいパートナーを見つけられるか


 ツアーに参加した武部建設(岩見沢)の武部豊樹社長は「当社の木造住宅はすぐにビジネスにはつながらないだろうが、人的交流、技術交流はしていける」と話す。エムズ・インダストリー(札幌)の美田法賢社長も「まずは人の交流で信頼関係を築きたい」と今後も同国と連絡を取っていく考えを示した。


 事業を成功させる鍵は何か。ウランバートルのモンゴル・日本人材開発センターに勤務するB・ナサンビレグ氏は「いいパートナーを見つけること」と即答する。在札幌モンゴル国名誉領事館のガンバット・ウスフバヤル事務局長も同じ考え。両国の国民性や商習慣を理解した上で、ビジネスマインドを持った伴走者。どんな関わり方をするとしても「いいパートナー」がキーワードであるのは間違いない。

コメント


bottom of page