道内住宅関連企業モンゴル参入への道/現地視察ルポ②
冬の大地を覆う煤煙と、怒涛の住宅ラッシュ―。北海道と同じ寒冷地でありながら、未成熟なインフラに悩むモンゴルの首都ウランバートルが、巨大な再開発の波に揺れている。北海道住宅産業新聞社は9月9日~12日、北海道建設新聞社との共催で「モンゴル住宅視察ツアー」(団長・加藤修札幌市副市長)を実施。道内の住宅関連事業者ら18人の一行で現地を視察し、ビジネス参入の可能性を探った。

コストの壁を越えて
道内の住宅メーカーにとって、現実的かつ最大の問題はコストだ。20分シティーのような巨大プロジェクトに参加できたとしても、輸出事業のハードルは高い。建材やユニットを運ぶルートは、苫小牧(船)→中国・天津(鉄道)→ウランバートルが一般的。ただ、国際流通に詳しい関係者は「ことあるごとに裏金を求められ、時間も金もかかる」と指摘する。
モンゴルの平均月収は5万~8万円。今後社会的に求められる住宅は、戸建てなら安くて省エネ性能の高い家ということになる。1棟1000万円と仮定しても、依然高額だ。
プラス要素はある。日本はモンゴルに対し、23年度までに3700億円を超える政府開発援助(ODA)を行ってきた。円借款が1829億円超、無償資金協力が1287億円超、技術協力が603億円超。空港ができ、橋が架かり、道が通った。今後も住宅政策への支援は十分期待できる。
モンゴル側も「高性能住宅を売りやすい状況」をつくりつつある。2012年に国家プロジェクト「10万戸住宅建設計画」が動き出し、低金利の個人向け住宅ローンを整備。19年には商業銀行が省エネ住宅向けの低金利グリーンローン制度をスタートさせた。24年には住宅性能の統合的評価システム「BESTGER(ベストゲル)」が誕生。同国のある建設会社社長は「さまざまな補助金も使えるようになってきた」と指摘する。
日本の住宅金融支援機構も、モンゴルの金融機関によるグリーンボンド発行の支援に乗り出している。省エネ性能の高い住宅向けの住宅ローン債権をまとめて証券化し、その証券を投資家に販売して国内外から資金を調達する仕組みで、実現すれば国際的なマネーをモンゴル住宅市場に呼び込める可能性がある。
同機構国際・調査部の豊島義之氏は「モンゴルの金融機関がグリーンボンドを発行するには、日本の『フラット35S』のような省エネ性能の高い住宅を増やす仕組みづくりが不可欠だ」と指摘する。機構は昨年有償技術支援契約を締結したモンゴル住宅抵当株式会社(MIK)に対し、仕組み構築に向けた具体的で現実的な政策提言を行っているという。
今回のツアーを通し、人口350万人の半分が集中するウランバートル市が、伝統的なゲルをなくし、合理的な都市に生まれ変わろうという方向性は見えた。低所得者が簡単に家を買える状況には遠いが、前述のシステムが機能すれば、道内住宅メーカーが得意とする省エネ住宅の需要がさらに増すのは自然な流れだ。
それでもツアーに参加者した工務店関係者からは「すぐにビジネスとして成立させるのは難しそうだ」という声が聞かれた。追い風が吹いても、やはりコストの問題はシビアだ。





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