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想いを叶える親愛信託 88

  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

第88回「共有不動産と浪費家対策」



自分で判断せず専門家に相談を


財産を持っている人は、その多少に関係なく信託を検討する価値はあると思います。検討した結果、信託が必要ない人もいると思いますが、将来どのようなリスクが待っているかわからないので、自分で判断するのではなく経験豊富な専門家に相談することをお勧めします。特にタイトルのように不動産が共有になっている場合と相続人の中に浪費家の方がいる場合には信託を活用することが適しています。

 まず、共有不動産を持っている場合、持分を持っている人が一人でも判断能力が無くなるとその財産を有効活用できなくなる可能性が高いということです。さらに持分を持っている人それぞれ相続対策が必要になるため、相続でもめたり、意見がまとまらなかったりする確率が一人で所有しているよりも上がるということです。

 相続の問題が起きる可能性は人数が増えればその分増えます。亡くなる順番が変わって、代襲相続が起こり、別れた配偶者が連れて行っていた相続人と共有になることもあり、全く会ったこともない人と共有になる可能性もあります。


話し合える状態のときに決めておく


 その対策として共有不動産を信託財産とする信託契約を結んでおきます。そうすると最初に持分を持っている人が受託者も受益者も決めておくことができるので、全く知らない人が突然かかわってくることを避けることができます。持分を持っている人が数人いると信託契約は一人一人締結することになります。その場合、ばらばらに信託契約を締結するのではなく、みんなで話し合いながら将来を考慮してスキームを決めていきます。

 共有者が話し合える状態の時にきちんと信託で将来を決めておくことで、争いやいがみ合いを防ぐことができます。もう少しみんなが高齢になってからでいい…などという方もいらっしゃいますが、先延ばしにすればするだけ話し合いができなくなるリスクが出てきます。

 今、仲良くてもずっと仲が良いとは限らないので。共有不動産はリスクがあるということはみなさんご存じだと思いますが、親愛信託を活用すると管理する人を一人にすることができ、将来の管理者も事前に決めておくことができるので財産の凍結を回避できます。

 信託財産に関しては受益者がなくなっても相続の手続きの必要がなく、信託契約で決めた人に承継されます。そして、自分で財産の管理が出来ない人にも受益権として、財産を承継させることができます。浪費家の人は自分で財産を管理できない人ではありませんが、財産を適切に運用・処分できないという点では自分で管理できないということになる人もいると思います。

 しかし、信託財産にしておくと財産は受託者が管理し、受益者は直接財産を管理するわけではないので、浪費家対策になります。受益者として信託財産として受託者が管理している金銭を自分で自由に使うためには、受益債権を行使して、受託者から信託金銭を給付してもらい、所有権になった金銭を自由に使うことになります。


受益債権行使の条件を決めておく


 信託契約の中で受益債権を行使するときの条件などを決めておくとさらに浪費家対策になります。浪費家と言ってもいろいろなタイプがあると思うので、その人に合わせて信託契約書を作成し、委託者も将来の受益者になる浪費家の方も困らないようにすることができます。浪費癖がひどくて、破産したり、差し押さえのリスクがあるのであれば、受益権を差し押さえられる可能性もゼロではないので、受益権を渡さないという方法を取った方がいいケースもあるかもしれません。

 信託財産は直接差し押さえることはできませんが、受益権は差し押さえることができます。そのリスクがあるのであれば受益権は渡さず、将来の受益者に渡す受益権を、浪費癖のある人の生活にかかる費用を負担するというような負担付き受益権にしておき、将来に備えることもできます。浪費家の生活費を負担するという趣旨を目的に入れておくという方法もあります。




監修:特定行政書士 松尾陽子(まつお ようこ)

よ・つ・ばグループ協同組合 親愛トラスト理事長


略歴


16年1月ソレイユ九州発足、同年8月法人化し(一社)よ・つ・ば親愛信託普及連合に名称変更。17年9月協同組合親愛トラスト設立。現在は専門家向けの連続講座やZoomセミナーなどを通じて親愛信託の普及活動に励む。

著書に『理想・希望通りの財産管理を実現する!カップルのための「親愛信託」』(日本法令)、『ここまで使える!自己信託&一般社団法人を活用した資産承継・事業承継(河合保弘氏との共著)』(日本法令)などがある。



(第1158号 2026年7月16日 引用)








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