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想いを叶える親愛信託 89

10 分前
読了時間: 4分

第89回「将来はみんなで分けたい」



遺言書なければ遺産分割協議が必要


 所有者だった父親もしくは母親が亡くなり、遺言書はない場合には、相続人による遺産分割協議が必要になります。


 自宅だけの場合もあれば、自宅と収益物件も複数ある場合もあります。相続対策をしている場合、「法人が所有しているから相続対策は必要ない」と考えている方もいますが、その法人は株式会社であることが多いです。しかし、その株式会社の株式は誰が所有しているでしょうか? 


 その株の所有者が亡くなった時の相続もしくは相続税対策をしておく必要がありますが、それが出来ていないのに、法人が不動産を所有しているということだけで安心とはいえません。その株式会社の株の承継先を決めておく必要がありま す。株式を信託することもできるので、法人が不動産を持っている場合はその株について、親愛信託を活用することを検討していただければと思います。


遺言書なければ遺産分割協議が必要


 では、不動産が個人名義になっていて、誰に相続しないといけないかを決めないといけないけれど、どうすれば一番争いなく相続人の取り分が公平になるのか迷うケースはどうすべきでしょうか。誰かの名義に一旦しておいて、将来、売却できた場合などに相続人で売却した金銭は分けたいという要望はあると思います。


 将来のことや税金のことを何も考えずにとりあえず、相続時は長男名義にしておき将来売却出来たら長男の兄弟姉妹で分けよう! ということをすると、相続時には長男に相続されたことになっていて、売却時に兄弟姉妹で分けると長男から兄弟姉妹への贈与になってしまいます。そうすると、きちんと対策しておけば払わなくてもよかった贈与税を払うことになります。その時に親愛信託を活用して、どのような対策をするかというと、父親もしくは母親が亡くなったときに、兄弟姉妹で平等に相続します。


名義を長男一人にすること可能


 しかし、兄弟姉妹の望みは長男にお任せしたいということです。そこで親愛信託を活用します。不動産の共有はできる限り避けたほうがいいというのが一般的な考えですが、親愛信託を活用することを前提として、すべての不動産を共有で相続登記をします。持分を持っている人が委託者になり、お任せしたい長男さんと信託契約をします。そうすることで財産権は兄弟姉妹で、均等に持ちますが、名義を長男一人にすることができます。


 複数の不動産があっても、全ての持分を信託財産とする契約を受託者になる長男さんと締結することができます。その中の一つの不動産を売却するときに売却に関する手続きは長男さんがすることができます。売却でなく賃貸の場合の賃貸借契約は受託者である長男さんがすることができます。つまり手続き係が受託者として長男さんになるということです。


 売却時の印鑑証明は受託者長男さんのみのもので、印鑑も長男さんの実印で売買を行うことができます。無事に売却できた場合は信託財産である不動産が金銭に変わります。売却に必要な経費を信託金銭から支払い残った金銭を受益者である兄弟姉妹に持分の割合で分けることができます。親愛信託を活用することで、相続の時は一人の名義にして、将来の収益や売却金は相続人で分けるという望みが叶うのです。


共有者が増えていくこと防げる


 相続時に親愛信託を活用することを前提に、あえて共有にするということもできますし、すでに共有になってしまった不動産を親愛信託を活用して名義を一つにまとめることができます。相続でどんどん共有者が増えていくことを避けるため、名義は受託者に集めておき受託者の次の受託者も決めておくことも可能です。


 それぞれの受益者が自分の次の受益者を指定しておくことで、相続で共有者が増えることも防げます。親愛信託の受益権の承継には相続の手続きの必要はなく、信託契約で指定した人に順次承継されていくということが将来の相続対策にもなるのです。




監修:特定行政書士 松尾陽子(まつお ようこ)

よ・つ・ばグループ協同組合 親愛トラスト理事長


略歴


16年1月ソレイユ九州発足、同年8月法人化し(一社)よ・つ・ば親愛信託普及連合に名称変更。17年9月協同組合親愛トラスト設立。現在は専門家向けの連続講座やZoomセミナーなどを通じて親愛信託の普及活動に励む。

著書に『理想・希望通りの財産管理を実現する!カップルのための「親愛信託」』(日本法令)、『ここまで使える!自己信託&一般社団法人を活用した資産承継・事業承継(河合保弘氏との共著)』(日本法令)などがある。



(第1159号 2026年8月1・16日合併号 引用)








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