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【トップインタビュー】北ガス・川村智郷社長

札幌再開発区にエネ供給


 6月に北海道ガス社長に就任した川村智郷氏は、天然ガスの普及拡大を軸として、再開発地区での熱供給やデジタル活用の取り組みを進める。


 2030年を中間地点として2050年を見据え、再生可能エネルギーの自社開発など脱炭素にも注力する。グループ連結売上高2000億円など経営計画「Challenge 2030」に掲げた目標をいかに達成していくのか。展望を聞いた。


ZEBコンサルも


 ―主事業であるガス販売の戦略は。


 家庭向けではガス給湯器のエコジョーズ、ガスマイホーム発電のコレモとエネファームが軸となる。最近は自家発電の意識が高まっており燃料転換の動きも出てきている。コストが高いという声もあるが長寿命化など技術開発で抑制している。


 ―宅地開発が札幌近郊で進む中、ガス管延伸は。


 近郊だと既に供給している千歳や小樽などが対象だ。ボールパークでにぎわう北広島でも、街の発展に合わせて延伸を考えていきたい。

 札幌市内でもまだ都市ガスが行き渡っていない地域があるため30年度に向けて継続的に延伸する。


 ―石狩湾新港銭函方面の工業団地で新規分譲の動きがある。

  企業進出が活発な中で導管新設の可能性は。


 ガス管のない地域では、お客様の敷地などにある気化設備へと液状のまま運ぶ「液売り」を全道展開している。道東や道央など20件以上、年間7万㌧規模だ。引き続き液売りで広げることになるだろう。導管での供給にこしたことはないが需要密度との兼ね合いがある。


 都市ガスと電気の供給を組み合わせたZEBコンサルティング事業も始めた。天然ガス一辺倒ではなくエネルギーを組み合わせて扱い、エネルギーマネジメントのようなソフトの要素も提供していく。


低・脱炭素化で貢献


 ―札幌都心部の再開発にはどう携わっていくか。


 道銀ビル・新大通ビルと札幌エスタの再開発施設では、グループ企業の北海道熱供給公社(本社・札幌)がエネルギーセンターを置いて熱供給する。

 30年度末に開業する北海道新幹線札幌駅の東改札口周辺でも再開発の声が多く聞かれる。北ガス本社も非常に近い。札幌中央郵便局など周辺で将来開発を目指す地権者と、エネルギー供給などに関する勉強会を継続的に開いている。熱供給はエネルギー密度が高くないと成り立たないので、このエリアでぜひ携わっていきたい。


 ―賃貸マンション事業の展開は。


 2棟目を白石区の自社所有地で建設中で23年3月の竣工を予定している。中央区にある1棟目とグレードは同等だ。事業目標は40年度に100棟、3000戸。札幌に限らず他の地域でも良い土地があれば建設を考えていきたい。


再エネ、まず太陽光


―再エネ電源の取り扱い量15万㌔㍗が30年度目標とするが道筋は。


 所有する再エネ電源は苫小牧バイオマス発電所などで1万㌔㍗ほど。残り14万㌔㍗のうち7万㌔㍗を他社協業も含めて自社で新規開発したい。太陽光が中心になるだろう。規模を問わずにかき集めて増やしていく。


 風力発電も検討対象だ。石狩LNG基地でも計画があり、できるだけ早く設置したい。残り7万㌔㍗はいわゆる卒FIT電源などを他から取得する。


―太陽光や風力では適地探しや系統容量が課題となっている。


 当社は6カ所の自治体と連携協定を結んでいる。例えば校舎の遊休地を使わせてもらうなど考えている。地域に埋もれている再エネを地域で使っていただくのがベストだ。再エネの活用促進も踏まえて連携地域数30カ所程度を目標に掲げた。


―DX本部長も兼任しデジタル活用を重視している。


 社内外で広く情報を共有するためのシステム構築を24年リリースに向けて進めている。社内での業務効率化、お客様と双方向でつながることが大きな目的だ。生活周りのサービスを広げたい。住宅エネルギー管理支援サービス「EMINEL(エミネル)」のお客様にはデマンドレスポンス(DR)を実証している。将来的には事業ベースでのDRも検討したい。


かわむら・ちさと

1969年3月余市町出身。早大教育学部卒。92年に北ガス入社。エネルギー企画部長、次世代プラットフォーム検討プロジェクト部長などを歴任し。2021年4月に執行役員デジタルトランスフォーメーション・構造改革推進部長に就いた。ことし4月に新設された同推進本部の本部長に就任。これと兼任する形で、6月に代表取締役に昇格した。


(第1081号 9月16日発行 9面より)

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