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想いを叶える親愛信託 86

  • 11 時間前
  • 読了時間: 4分

第86回「不動産価値と信託」



子どもの有無に関わらず、信託で防げるトラブル


 子どもが一人だから、あるいはいないから大丈夫…そう考えて何も対策をされない方がいらっしゃいます。確かに、その一人のお子さんにすべての財産を承継させたい場合には、大きな問題が起きないこともあります。しかし、それだけでは老後の財産管理や将来のリスクに十分に備えることはできません。

 

 認知症などにより判断能力が低下した場合、預金の引き出しや不動産の処分ができなくなる可能性もあり、結果としてご本人やご家族に大きな負担が生じることもあります。また、相続人関係を正確に把握しておくことも重要です。

 

 まれではありますが、再婚前の子どもなど、周囲が把握していない相続人が存在するケースもあります。事情があってあえて伝えていない場合もあり、遺言の作成が進まない背景には、そのような事情が影響していることもあります。

 

 表面上は問題がないように見えても、実際には複雑な家族関係が潜んでいることは決して珍しいことではありません。子どもが一人の方も、いない方も、信託を活用することで将来への備えをすることができます。


信託と遺言を組み合わせた対策が有効

 

 信託は、元気なうちに財産の管理や承継の方法を決めておくことができる仕組みであり、将来の不安を軽減する有効な手段です。理想はすべての財産を信託財産とすることですが、生きている限り財産は増減するため、現実には難しいのが実情です。そのため、主要な財産を信託財産とし、それ以外の財産については遺言で承継先を明確にしておくことが現実的な対応となります。

 

 また、相続人調査の過程でこれまで表に出ていなかった相続人が判明することがあります。その結果、想定していなかった相続人との間で遺産分割協議が必要になる可能性があります。

 

 特に、不動産が相続財産として残ると、所有者が亡くなった場合、行政から相続人に対して固定資産税の納付者を決めるよう通知がなされることがあります。それがきっかけとなり、相続権を実は自分が持っていたということを認識するケースもあります。

 

 こうした事態は、残されたご家族にとって大きな精神的負担となります。このようなリスクを避けるためにも、信託と遺言を組み合わせた対策が有効です。


財産の管理や承継方法をあらかじめ明確に


 不動産を信託財産としておくことで、固定資産税の通知は受託者に届き、信託財産に関しては相続手続きの必要がないため、相続の影響を受けにくくなります。あらかじめ管理や承継の方法を決めておくことで、想定外のトラブルを防ぐことができます。

 

 また、子どもがいない場合には、何も対策をしていないと兄弟姉妹に相続権が発生します。兄弟姉妹は年齢が近いことも多いです。すでに亡くなっていたり、認知症になっていたりするケースもあり、その場合はさらに次の世代へと相続関係が広がり、手続きが一層複雑になる可能性があります。

 

「まさか」に備えて財産内容の確認を


 どれだけ財産があっても、納税資金が不足していれば相続は大きな負担となり得ます。著作権など現金化しにくい財産であればなおさらです。最近では、著名人の相続に関する報道でも相続放棄が話題になることがあります。

 

「まさか、こんなに早く…」という事態は誰にでも起こり得ます。だからこそ、早い段階から信託を活用し、家族とともに財産の内容を確認しておくことには大きな意味があります。

 

 終活と聞くと高齢者のものというイメージがありますが、信託や相続対策は、財産を持つ方であれば若いうちから考えておくべきものです。その認識が広がることを期待しています。




監修:特定行政書士 松尾陽子(まつお ようこ)

よ・つ・ばグループ協同組合 親愛トラスト理事長


略歴


16年1月ソレイユ九州発足、同年8月法人化し(一社)よ・つ・ば親愛信託普及連合に名称変更。17年9月協同組合親愛トラスト設立。現在は専門家向けの連続講座やZoomセミナーなどを通じて親愛信託の普及活動に励む。

著書に『理想・希望通りの財産管理を実現する!カップルのための「親愛信託」』(日本法令)、『ここまで使える!自己信託&一般社団法人を活用した資産承継・事業承継(河合保弘氏との共著)』(日本法令)などがある。



(第1154号 2026年5月1・16日 引用)








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