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想いを叶える親愛信託 84

  • 13 時間前
  • 読了時間: 4分

第84回「家族信託って必要?」



変わる「信託」


 最近いろいろなところで「家族信託」という言葉を聞くようになりました。インターネットで検索すると、たくさんヒットし、知名度が上がってきているのは確実です。私が信託を業務にするようになった10年前は、検索しても特定の人が書いたものしか出てこなく、書籍もほとんど店頭にはありませんでした。しかし、10年間でずいぶん変わりました。


 信託だけでなく相続登記の義務化がされたり、民法改正で遺留分減殺請求が遺留分侵害額請求になり金銭の請求に変わったりと、世の中が目まぐるしく変わり、法整備も進んでいます。今後は後見制度も改正される見込みです。しかし、争いごとの原因は財産よりも感情のもつれの方が解決しづらいというように変わらないものもあります。


 不動産を業務として取り組んでいく場合に、変わらないものをしっかり守りつつ、変化に対応していくビジネスを行うことが大切と思います。10年でこれだけ変わったのですから10年先の世の中を想像して事業を進めていく必要があると思います。


 最近、家族信託は認知症対策に活用される終活の一環として普及しているようです。あれ?親愛信託じゃなくて家族信託?とコラムを読んでくださっている方は思われていると思うのですが、残念ながら普及しているのは「家族信託」という言葉です。「親愛信託」も同じ仕組みですが、使い方が少し違うようです。


家族信託とは?


 家族信託は認知症対策に使われ、当初の財産の所有者が亡くなったら信託は終了という「死亡終了」と呼ばれるものが多いようです。財産の承継に関しては死亡をきっかけに次の人に財産を渡すということであれば「遺言」でもできるケースが多いと思います。ただ、遺言は所有者が亡くなってから効力が発生するので、認知症対策にもなる信託が使われているのだと思います。


 親愛信託は死亡で終了せず、その先自分の思った人に承継させるまで続けることができます。さらに、財産を承継させる際に「管理者」と「財産権者」を分けることも親愛信託できますが、「遺言」ではできません。家族信託は家族の財産を家族で守ろうというイメージですが、家族でないケースにも使えるのが親愛信託です。もちろん同じ仕組みなので、家族信託でも親愛信託でも家族でない人と契約することも死亡で終了しない契約にすることもできます。


 言葉の使い分けとしては、家族信託は死亡終了が多いようなので、家族との契約かつ死亡終了の信託契約を「家族信託」、家族も含めて家族でない人や法人との契約もでき、死亡で終了しない相続対策もできるものを「親愛信託」としています。もちろんどちらも法的な定義があるわけではありません。家族信託の知名度が上がっているので今回はあえてタイトルにしました。


親愛信託だからできること


 最近、よ・つ・ばグループの法人を設立する際に法務局の登記官から法人の目的に「親愛信託」という文言がはいっていると商事信託と間違う可能性があるので、変更してほしいと言われました。家族信託はみんながわかっているから登記できるそうです。今、現状の世の中はそういうことです。ただ、本当は家族でない人に財産管理をお願いしたい場合や家族でない人に財産を承継したい場合こそ、信託を使うべきなのです。そのため、家族のための信託というイメージではない信託としてもっと多くの人に活用してほしいという思いで、「親愛信託」を使い続けようと思います。


 家族の場合、戸籍の広域取得制度が使えますが、家族でなく、法定相続人ではない人は使えません。戸籍を集めるのが大変になるケースもあります。結論を言うと「家族信託」は必要です。でも、家族だったら信託しておかなくてもできることもありますし、任意後見や遺言など他の方法でできることもあります。専門家に相談してしっかり説明を受けて、ご自身で必要かどうかを判断することが大切だと思います。



監修:特定行政書士 松尾陽子(まつお ようこ)

よ・つ・ばグループ協同組合 親愛トラスト理事長


略歴


16年1月ソレイユ九州発足、同年8月法人化し(一社)よ・つ・ば親愛信託普及連合に名称変更。17年9月協同組合親愛トラスト設立。現在は専門家向けの連続講座やZoomセミナーなどを通じて親愛信託の普及活動に励む。

著書に『理想・希望通りの財産管理を実現する!カップルのための「親愛信託」』(日本法令)、『ここまで使える!自己信託&一般社団法人を活用した資産承継・事業承継(河合保弘氏との共著)』(日本法令)などがある。


(第1151号 2026年3月16日 引用)







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