想いを叶える親愛信託 81
- oikaway4
- 5 日前
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第81回「親愛信託とリバースモーゲージとリースバック」
リースバックで得するケースとは
リバースモーゲージは、不動産担保に借入をして所有者が亡くなるとその不動産を売却して借入金を返済する仕組みです。所有者はまとまった現金を借入することができます。将来、所有者が亡くなったら不動産を売却して返済に充てるので、元金の返済はせずに利息だけ支払う形になります。そのため、自分が生きている間に現金を自分のために使うことができます。第54回目のコラムで、自己信託を使ったリースバックのスキームをご紹介しましたが、受託者を信頼できる人にする信託契約でもリースバックを実行することができます。
リースバックは、不動産を売却しますが、そのまま家賃を払い、住み続けるというものです。信託を使ったリースバックは、不動産を「信託財産」として受託者と信託契約をします。そして、受託者がリースバック契約の当事者になります。売却代金である金銭は受託者が管理することになりますので、元々の所有者である高齢な方が金銭を自分で管理する必要もなくなります。そのため、通常の認知症対策の場合に、不動産を売却して施設費用にあてるというスキームと同じようなことができます。ただ、施設に入るタイミングで売却するのではなく、自分たちのタイミングで売却することができるのが特長です。たとえば、不動産価値が上がる見込みがない不動産や一時的に好条件で売却できる場合などは、信託契約でリースバックすることを検討するとよいと思います。
リバースモーゲージの賢い活用法
一方、リバースモーゲージは、不動産を担保にお金を借りて、金銭を調達し、将来に売却するというしくみです。不動産価格が上昇している場合でなければ、売却しても借入金を返済できないというような事態に陥る恐れがあります。どちらも不動産を使った金銭の調達方法ですが、リバースモーゲージは価値が上昇気味の不動産担保に利息を払い、リースバックは価値が下がった不動産を早めに売却して、家賃を払い住み続けるというような使い方が良いと思います。ただ、将来のことは誰にもわからないので、自分の思った通りには行かないこともあるでしょう。どちらにしても、不動産を手放すことになりますが、必要のない場合は、タイミングさえ考慮すれば後悔はないと思います。

相続税の支払いのためにリバースモーゲージを使って、将来的に買い戻すというようなスキームもあるようです。そのような場合は、所有権で売却や買戻しをするのではなく、親愛信託を使って、受益権の売却や買戻しをすることをお勧めします。将来の買戻しが約束されますし、リバースモーゲージとリースバックを併用するような形を取ることもできます。所有者が死亡して売却する際、リースバックで該当不動産を借りた形で使い続け、将来資金ができたらまた買い戻すというスキームです。利用者は変わらず所有者が変更することを、信託を活用して実行します。
所有権のまま不動産の持ち主が変わると、その都度取得税がかかり、登録免許税も2%になりますし、価値が高ければ負担が増して買い戻す時期も遅くなります。そうならないように、買主も金額や条件が不利にならない契約をすることが可能です。実際にその不動産に住んでいるのは、将来買い戻したい人なので、オーナー側も不動産をきちんと管理してもらえるというメリットもあります。
監修:特定行政書士 松尾陽子(まつお ようこ)
よ・つ・ばグループ協同組合 親愛トラスト理事長

略歴
2015年行政書士まつおよう子法務事務所開業。
16年1月ソレイユ九州発足、同年8月法人化し(一社)よ・つ・ば親愛信託普及連合に名称変更。17年9月協同組合親愛トラスト設立。現在は専門家向けの連続講座やZoomセミナーなどを通じて親愛信託の普及活動に励む。
著書に『理想・希望通りの財産管理を実現する!カップルのための「親愛信託」』(日本法令)、『ここまで使える!自己信託&一般社団法人を活用した資産承継・事業承継(河合保弘氏との共著)』(日本法令)などがある。
(第1146号 2025年12月1・16日合併号より 引用)







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