分譲マンションの自治組織である管理組合の運営を外部の管理会社に任せる「第三者管理方式」が広がりの兆しを見せている。道内でも新築物件を中心に採用が始まり、既存物件でも提案の動きがある。高齢化した住民や多忙な現役世代は役員の担い手になりにくく、負担を解消する手段として今後広がりそうだ。
役員のなり手不足を解消
大和ライフネクスト(東京)は、札幌市中央区の「モンドミオ札幌 南三条通」(39戸)で道内初の第三者管理方式を採用する。導入の決め手は、民泊に対応するマンションでありセカンドハウス需要が期待されたこと。実際、購入者の約7割が道外や札幌市外からだった。同社マンション事業本部の岸下真木夫氏は、セカンドハウスやリゾートマンションなど、オーナーが常駐していない物件に適する方式と説明した。
実需の既存物件でもニーズは高まる。同社管理者管理サービス課の柏勇次氏によると、住民の高齢化が進む高経年物件と各地方都市の駅前に建つ築浅物件を中心に全国から問い合わせが増加。前者は高齢化による理事のなり手不足、後者は共働きで忙しい現役世代から負担削減の要望が背景にある。柏氏は「管理会社変更を検討する組合から、第三者管理方式もセットでできないかと尋ねられるケースもある。今後も問い合わせは増えるのでは」と予測した。
長谷工コミュニティ(東京)は2021年から既存物件で第三者管理方式を開始。22年からは新築物件でも採用を始め、道内でも普及を構想する。某大手デベロッパー傘下の管理会社も新築物件から取り入れ始めている。
利益相反の懸念
道内のデベロッパーや管理会社の多くは静観中だが、クリーンリバー(札幌)では第三者管理方式の導入を検討している。管理を担当する吉田旭常務執行役員によると、住民から希望があった管理組合や30戸以下の物件を中心に提案を進めているが、具体的な導入時期は未定とした。
第三者管理方式は住民の負担を解消する一方、大規模改修の業者選定などで利益相反が起こる恐れもある。北海道マンション管理士会の菅野英雄会長は「管理会社による利益誘導を防ぐためのチェックシステムが必要。建築士やマンション管理士など、外部専門家による監査機能を導入すべき」と主張。委託費の上乗せによる管理費アップが避けられないことも課題に挙げた。
(第1095号 2023年6月1日号 2面より)
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