北海道に特化した不動産投資信託(REIT)「北海道リート」の設立準備室は、6月末に資産運用会社を設立する。建設や不動産などの道内企業20社が2億4500万円を共同出資することを決めた。
12月末に投資法人を立ち上げ、2023年1月の運用開始を目指す。資産規模は約300億円からスタートする考えだ。
道内企業20社が共同出資 資産約300億円でスタート
20社の出資メンバーのうち、中心的役割を担う幹事会社には札幌に本社を置く岩田地崎建設と伊藤組土建、アインホールディングス、クリプトン・フューチャー・メディア、日動、ニトリホールディングス、藤井ビル、北海道電力を選出。この中から取締役3人(非常勤)、監査役1人(同)を選任し、資産運用会社の業務執行を監督する。
このほかの出資者には、中山組(札幌)、宮坂建設工業(帯広)、石屋製菓(札幌)、土屋ホールディングス(同)、野口観光(登別)、ノーザンクロス(札幌)、フルテック(同)、ほくていホールディングス(同)、北海道空港(千歳)、北海道新聞社(札幌)、丸ヨ池内(同)、運営支援を担当する三菱UFJ銀行が名を連ねる。
不動産投資法人の設立企画、運用を目的とする資産運用会社の名称は「北海道アセットマネジメント株式会社(仮称)」。主に機関投資家向けの私募リートとして運営する。
メインスポンサーを持たず、多くの道内企業が関わる協同型が特徴。資産運用会社の出資額は各社500~2000万円だという。先駆けて地域特化型で運用する福岡リートや東海道リートなどでは、特定スポンサー型を取っているため、全国では珍しい。さまざまな業種の企業が関わる相乗効果によって、道内各地における事業機会の拡大につなげる。
出資者の中には道内金融機関の名がないが、北洋銀行は北洋証券を通じて事業連携を検討しているようだ。北海道銀行も7月上旬に発足する連携金融機関グループに入り、三菱UFJ銀行などと一緒に協力するという。
道内企業や自治体保有不動産の有効活用やまちづくりに期待
不動産投資信託の仕組みを活用することで、道内企業や自治体が保有する不動産の有効活用とまちづくり投資を促す狙いもある。そのため、大規模物件だけをリートに組み込むのではなく、地方にある中小規模の物件であっても、安定利回りが確保できれば投資対象に加える。
当面はスポンサーが保有するオフィスビルや商業施設、ホテルなどから選定。物件の候補には札幌市内の北4東6地区再開発で新設された、健康増進施設と共同駐車場が候補に挙がっている。利回りは5%程度を見込む。
20年代後半をめどに、札幌や地方都市の開発案件、成長が著しい再生可能エネルギー施設、データセンターなど幅広い分野で本格的に投資する考えだ。
(第1075号 2022年6月1日発行 1面より)
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