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22年国交省地価公示 道内住宅地は4.6%増、商業地は2.4%増

更新日:2022年3月30日

再開発とボールパークの整備で北広島市と札幌市が上昇率を牽引


 国土交通省が発表した2022年1月1日時点の地価公示によると、札幌市の平均地価は住宅地、商業地ともに9年連続で上昇した。住宅は低金利による需要増のほか、市内で相次ぐ大型再開発が追い風となった。

 北海道胆振東部地震の被害が大きかった清田区里塚地区では、地盤改良などの復旧が完了したことで急上昇した。

 近郊は前年に引き続き、北海道ボールパークFビレッジ(BP)の整備が進む北広島を筆頭に、価格水準が低かった土地が値上がりしている。


■札幌市内


 住宅地の平均価格は8万9700円(1㎡当たり、以下同)で、9・3%上昇した。商業地は5・8%増の34万6300円。工業地は6・4%増で5万6300円だった。


 商業地は、コロナ禍の影響で、いまだホテルの需要が伸び悩む一方、大型再開発に伴うマンションの販売が好調だったことなどで全体を押し上げる形となった。


 ホテル開発が旺盛だった薄野地区の中央区南6条西4丁目5の32ほかでは前年比1・6%減の123万円に低下。2年連続で下落率1位だった。新さっぽろ駅前周辺で再開発が進む厚別区厚別中央2条5丁目2の8ほかは、前年比13・8%増の33万円となり、5年連続で市内上昇率首位を維持している。 


 住宅地は全10区で前年を上回る上昇率となった。中央区と比べ割安な郊外のマンション、戸建用地の需要が増している。上昇率トップは清田区里塚2条6丁目266の70が浮上。震災復旧が完了したことを要因に持ち直した。東区東苗穂の4地域は市内上昇率10位内にランクインしている。


 最高価格を見ると、住宅地では円山地区の中央区南1条西26丁目185の5で、前年と比べ6%増の65万円。商業地はMMS札幌駅前ビルの中央区北4条西4丁目1の7ほかで、4・1%増の557万円だった。


 札幌市内における住宅地、商業地の平均地価は9年連続の上昇となり、地方都市と比べ、価格差はさらに広がっている。北海道不動産鑑定士協会代表幹事の齋藤武也氏は「商業地は商店やオフィスなどを想像しがちだが、マンション用地も入る。このため、住宅、商業ともに戸建てや商業施設に加え、マンション販売の好調さも地価上昇の要因になっている」と分析する。


■近郊5市


 江別、千歳、恵庭、北広島、石狩の近郊5市を見ると、住宅地、商業地いずれもプラスで、平均変動率は10%以上を記録した。


 北広島市は、北海道ボールパーク開業やJR北広島駅西口周辺再整備などを背景に上昇。低価格だった西の里地区や大曲地区などにも波及した。全調査地点で前年を上回る価格となっている。


 人口10万人の江別市は、住宅地が4年、商業地が3年連続でそれぞれ値上がりした。JR高架化や駅前で土地区画整理が完了した野幌地区は好調で、戸建て用地としての人気が高い。


 恵庭市はJR恵庭駅西口周辺で駅前整備を終えていて、駅近の共同住宅地として需要が増している。


 千歳市は、JR千歳駅周辺のホテル用地需要が、コロナ禍の影響で停滞したが、共同住宅用地が注目されている。


 石狩市は、住宅地の地価が大きく上昇した。札幌のベッドタウンという利便性の良いエリアとして20、30代からの支持を得ている。


住宅地の地点別上昇率 道内地点が全国トップ10を独占


 全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年ぶりに上昇に転じた。


 東京・大阪・名古屋の三大都市圏の平均は、全用途平均・住宅地は東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれも2年ぶりに上昇に転じ、商業地は東京圏、名古屋圏は上昇に、大阪圏は横ばいに転じた。


 地方圏の平均をみると、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年ぶりに上昇に転じ、地方4市(札幌・仙台・広島・福岡)では全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇を継続し上昇率が拡大した。


 同省では「景況感の改善を背景に、住宅地では、低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による下支えの効果もあり、住宅需要は回復し、地価は上昇に転じており、商業地では、都心近郊部において、店舗やマンション用地に対する需要が高まり、上昇に転じた地点が多く見られるなど、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和される中で、全体的に昨年からは回復傾向が見られる。また、インターネット通販の拡大に伴う大型物流施設用地の需要が強く、高速道路のインターチェンジ周辺等の交通利便性に優れる物流施設の適地となる工業地では地価の上昇率が拡大した」と分析している。


 北海道の平均変動率は全用途で3・9%増(全国平均0・6%)と6年連続で上昇した。住宅地、商業地とも前年を上回る上昇率となり、特に住宅地は全国トップ10を独占した。また、商業地の全国1位は北広島市だった。


(第1072号 4月1日発行 9面より 紙面はこちら

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