2025年1~3月全国新設住宅着工戸数 北海道4割増の6359戸 全国13%増20万戸 3月に急伸 伸び幅を検証
- oikaway4
- 6月11日
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2025年1月から3月までの全国新設住宅着工戸数が国土交通省の調べでまとまった。全体で24年同期比13%増の20万5561戸に着工した。都道府県別では、36都道府県で前年を上回る結果となった。北海道は全種別合計で41・9%増の6359戸に着工。伸び率は全国4位だった。種別ごとに見ると、持ち家が33・4%増の1781戸、貸家が44・1%増の3695戸、建て売りが62%増の525戸などとなっている。
国交省がこれまでに公表した新設住宅着工戸数統計を整理し、北海道のほか人口が集中する都府県と台湾積体電路製造(TSMC)進出に伴い受け皿整備が進む熊本、前年同期比で着工が増えた上位10地点を表に並べた。

北海道以外で伸び率の上位に入ったのは石川(前年同期比2・1倍)、富山(同72%増)、宮崎(同56・4%増)、新潟(同39・5%増)、京都(同37・7%増)、福岡(同36・5%増)、栃木(同26・4%増)、広島(同26・1%増)、兵庫(同25・1%増)だった。
1位の石川は24年1月に発生した能登半島地震で特に大きな被害を受けた。復旧・復興に向かう中で一般住宅類の建設が停滞するなどした結果、同年3月までの着工戸数では、全国最下位の伸び率(マイナス31%)となっていて、今期急増の要因としてその反動も小さくないだろう。
■法改正の影響で着工増か
全国的に前年同期比で大幅な着工増となった今期。例年と比べても特に2月から3月の伸びが著しかった。表2には、ことし1月から2月、2月から3月の累計着工戸数前年同期比増減率の差(=変動幅)をそれぞれ示した。

北海道を見ると、1月から2月にかけて全種別合計では前年同期比増加が続いているものの、伸び幅は8ポイント以上縮まっている(116・8%↓108・5%)。これが3月になると34・7ポイント増と一転して急伸。全国平均で見ても、1~2月の伸び幅は0・6ポイントなのに対し、2~3月は16ポイントだ。比較対象としている24年3月は着工が減少傾向にあったが、落ち込みは大半の地点で同年2月とほぼ同水準ということを踏まえれば、ことし3月は著しく伸びたと言える。
過去の2~3月の伸び幅推移を見ると、24年は北海道でマイナス4・4ポイント、全国平均で0、コロナ前の19年は北海道でマイナス11ポイント、全国平均でマイナス0・1ポイント。北海道は落ち込み、全国平均ではほとんど変化がないという傾向だった。これらと比べると、今回の伸び方の異質さが際立つ。
今回の集計は3月末までを含むため、4月1日から施行となった4号特例縮小や省エネ基準適合義務化など、法改正適用を見据えた駆け込み着工が急増の要因となっている可能性がある。
住宅種類別に見ると、持ち家が1~2月は北海道で4ポイント、全国平均で3ポイント、2~3月は北海道で30・4ポイント、全国平均で16・1ポイントの伸び幅。貸家の1~2月は北海道でマイナス32ポイント、全国平均でマイナス4・3ポイント、2~3月は北海道で41ポイント、全国平均で17・9ポイントの伸び幅となっている。
■札幌市内の着工数と月別の推移を比較
札幌市の25年1~3月着工状況は持ち家が18・3%増の569戸、貸家が39・4%増の2264戸、給与住宅が14倍の28戸、分譲のうち建て売りが36・9%増の219戸、マンションが15・1%増の251戸といずれも増加した。特に、貸家は4割近く増え2000戸を上回った。全体も34%増の3331戸と好調だ。

グラフ1~3には札幌市内の持ち家、貸家、分譲マンションそれぞれの24年着工数(破線)、25年1~3月着工数(実線)、1987年(分譲MSは2007年)以降の各月着工数中央値(二重線)を示した。
持ち家、貸家、分譲MSのいずれも1、2月は例年とおおむね同水準で推移し、3月に例年を上回る大きな伸び見せるという傾向が共通している。貸家は24年同月の1・5倍以上と著しい伸び幅だ。
各種住宅の着工は通常であれば4月頃に一度ピークが来ている。しかし、ことしに限れば方改正前の駆け込み需要の可能性があるため、4月の着工は落ち込む展開も考えられる。
■分譲MS成約は低調
グラフ4には住宅流通研究所(札幌)の集計を基に札幌市内分譲MSの月別成約戸数を24年(破線)、25年1~3月(実線)、1988年以降の中央値(二重線)とそれぞれ示した。25年1~3月の成約総数は前年同期比26・6%減の240戸だった。
25年を見ると1月は前年と同程度の成約があった。2月は100戸をわずかに上回る程度、3月は70戸ほどまで落ち込んだ。いずれも前年同月の実績より少ない。
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