札幌市・22年1~3月の新設住宅着工戸数

全国的に持家の着工戸数が大きく落ち込む

ウクライナ情勢長期化で先行き一層不透明


 今年第1・四半期(1~3月)の新設住宅着工戸数は昨年同期に比べ、全国は5・3%プラスとなったものの、北海道は13・8%、札幌市は15・0%、札幌市以外の市町村合計は12.3%それぞれマイナスとなった。


 持家着工の落ち込みは全国的で前年同期プラスは和歌山、岡山、長崎、沖縄の4県にとどまる。新型コロナウイルスのパンデミックに複数の要素が加わったウッドショックによる住宅業界への逆風はウクライナ情勢を受けて木材以外のあらゆる物資の値上がりに波及している格好だ。


全道は建売を除き前年比マイナスで推移


 今年1~3月累計の全国の新設住宅着工戸数は20万818戸となり、前年同期比5・3%増で推移している。

 利用関係別の内訳は、持家が5万7634戸(前年同期比6・0%減)、貸家が7万9668戸(同14・5%増)、建売住宅が3万戸(同9・5%増)、分譲マンションが2万7416戸(同5・7%増)、給与住宅が1068戸(8・2%減)となった。


 都道府県別でみると、総着工戸数で前年同期を上回っているのは47都道府県中、28都府県。利用関係物では貸家が30都府県、建売住宅が41都道府県、分譲マンションは今年建設実績がある28都道府県中17都道府県、給与住宅は21道府県それぞれ前年比プラスとなったが、持家はわずか4県しか前年同期を上回っていない。

 このうち、道内の総着工戸数4968戸(前年同期比13・8%)は、前年同期と比べた率でみると47都道府県中42位の水準で、全国の中で不調なグループに入っている。


 全道着工の利用関係別の内訳は、持家が1584戸(前年同期比19・8%、392戸減)、貸家が2217戸(同14・4%、373戸減)、建売住宅が735戸(同21・9%、132戸増)、分譲マンションが407戸(同27・7%、156戸増)、給与住宅が25戸(同24・2%、24戸減)となり、建売住宅を除き軒並み前年を下回った。



札幌市は大雪の影響もあり着工戸数減



 道内着工戸数の半数前後を占める札幌市の状況は、総着工戸数が3月までの累計で2575戸と前年同期比15・0%(406戸)マイナス。

 利用関係別では、持家が前年同期比24・3%(153戸)減の477戸、貸家が同9・6%(143戸)減の1343戸、建売住宅が同3・1%(11戸)減の336戸、分譲マンションが同27・7%(156戸)減の407戸、給与住宅が同800%(8戸)増-と給与住宅を除き前年比マイナスで推移している。



 札幌の全道シェアは昨年同期に比べ0・8ポイント下回るものの51・8%と半分以上を占めてはいるが、札幌市以外の市町村合計に比べ貸家着工が多いのが要因。戸建て系のシェアは持家が30・1%(前年比1・8ポイントマイナス)、建売住宅が46・1%(同11・9ポイントマイナス)となり、札幌市の着工が他市町村合計よりも大きく下振れしている。


 これは今年に入り2度の大雪に見舞われたことで建設現場に車両が入れずに着工が先送りされたことも影響していると考えられる。実際、ある資材会社は「2月は大雪の影響で生活道路に車が入れず資材を現場に運べなかったため、搬入を4月に先送りした」と話している。


資機材値上がりで受注・着工様子見も 価格上昇で遠のくマイホーム取得


 ただ、全道の水準を上回る札幌市の着工戸数減少は大雪の影響だけではない。もともと宅地不足で地価も上昇していた中、ウッドショックやアイアンショックで木材や屋根材などが値上がりしていたところにウクライナ情勢も加わり、ありとあらゆる物の供給不足や値上がりが続き、住宅の価格を押し上げた。


 ある工務店は「3日に1度くらいの割合でメーカーや商社から資機材の値上がりのお知らせが届く。お客様との契約から工事着工までのわずかなタイムラグの間にも値上げが実行され、契約時の見積もりでは赤字になってしまうのが現状」と話す。


 また、札幌市内で注文住宅を建てる場合、すでに4000万円超は当たり前になりつつあるのが現状。住宅価格が押し上げられた結果、「子育て世代のお客様が親からの援助をうけてもなお200万円ほど予算が足りず住宅ローンが組めずにマイホームを断念するケースがある」と話す工務店も。


 さらに、給湯器の納期が数カ月という状況の中、引き渡しを延期してもらった例もあった。引き渡し日を変更せざるをえない現状では、「受注しても約束を守れず、かえって信用を落としてしまう可能性もあるので、無理に受注増は目指さずに様子見の状況だ」と話す別の工務店もあった。ただし、こうした受注を無理に伸ばさない様子見の戦略を取れるのは体力がある工務店に限られる。


 ウクライナ情勢が長引く可能性は高く、資機材の値上がりがいつ落ち着くのか、半導体不足がいつまで続くのかは一層不鮮明になった。大雪の影響もあったと考えられる札幌市の着工戸数が4月以降どう推移していくかが注目される。


(第1075号 2022年6月1日発行 第5面より)

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