札幌市の2021年不動産流通市場を振り返る

  • 土地・一戸建て分野の成約数前年割れ

  • 価格上昇分が補う形で成約総額は増額


 本紙調査・集計による昨年の札幌市の不動産流通市場の成約状況は、2020年に前年割れしたマンション分野が復調し前年比4.9%プラスとなった一方、一戸建て分野は同6.6%、土地分野は同13.0%それぞれマイナスを記録した。ただし、成約価格上昇が成約数減少分を補う形で3分野とも年間の総成約額は前年を上回った。


 新築価格の上昇や札幌市内の土地不足で中古物件と流通土地に対する需要は高い状態が続くが、成約価格上昇と特に土地のタマ不足が成約の伸びを鈍化させてきている。



 昨年の流通3分野合計の総成約額は前年比8.0%、86億7000万円増の約1166億3000万円と初めて1100億円を突破した。分野別ではマンション分野が490億2000万円(前年比14.5%、62億2000万円増)、一戸建て分野が342億円(同2.6%、8億8000万円増)、土地分野が334億円(同4.9%、15億7000万円増)といずれも前年を上回っている。


 各分野の成約状況をみると、3分野の中で唯一前年比プラスとなったマンション分野は一昨年の大きな落ち込みから脱し、年間成約数2489件(前年比4.9%、116件増)と健闘したが、まだ3年前の2497件にも及ばない。ここ5年間で最多だった2019年との比較では7.2%、193件マイナスになる。


 札幌市内区別の成約数は、東区(前年比4.8%減)、豊平区(同5.3%減)、手稲区(同8.2%減)以外の7区で前年比プラス。特に厚別区と南区が前年比約3割増となっているのが特徴だ。


 区別成約のシェアは中央区(34.1%)、豊平区(13.7%)、西区(12.4%)の順で高く、この3区で全体成約数の6割以上を占める。


 平均成約価格は一昨年から再度急上昇の気配をみせていたが、昨年はそれ以上に値上がり傾向が強くなり、前年より166万円高の1970万円と2000万円の大台がみえる水準まできた。平均坪単価も同様で前年比8万円高の85万6000円と80万円を突破している。


 立地面の成約傾向は引き続き公共交通機関駅から「徒歩5分以内」の物件人気が高く、成約数の4割以上を占める状況に変化はなく、「徒歩10分以内」も含めると全体の実に8割近くに達する。


新築戸建て価格の上昇で中古需要がさらに強まる


 一方、一戸建て分野はここ数年、年間約1400件程度とほぼ横ばいで推移してきたが、昨年は1335件(前年比6.6%、94件減)と大台を切りマイナス傾向が顕著になった。


 札幌市内区別の成約状況は10区中、6区で前年割れ。特に豊平区は前年よりも3割以上のマイナスとなっているほか、北、白石、清田、西、手稲各区で1割前後落ち込んでいる。


 平均成約価格は前回急上昇した2018年を凌ぐ勢いが20年~21年と続き、昨年は2562万円(前年比230万円高)とついに2500万円を超えた。新築一戸建て住宅は札幌市内の土地不足・価格上昇、建築コストの上昇で4000万円超の物件が当たり前になりつつある中、比較的割安な中古一戸建て住宅の需要が高まり、それに伴い価格が上昇する傾向が続いている。反面、成約価格上昇が成約数積み上げの足を引っ張る側面も考えられる状況になってきた。


 リーマン・ショック以降、ほぼ右肩上がりで成約数を伸ばしてきた土地分野も昨年は4年ぶりに成約数が前年割れした。昨年の成約数は前年比13%、230件マイナスの1544件。1600件を切るのは2014年以来、7年ぶりとなる。


 札幌市内区別の成約状況は前年比プラスが厚別区のみ。前年同数の西区も除く、8区で前年を下回った。


 平均成約価格は前年比369万円高の2163万円で2000万円を突破。2016年以降6年連続の上昇が続く。しかし、平均坪単価は前年比2000円高にとどまり高止まり傾向。ただ、これは昨年10月から12月にかけて郊外の広大な土地が安価で成約したケースが複数あったことが影響しているとみられるので、土地分野の平均坪単価も実質的には数万円上昇していると考えられる。


(第1068号 2022年2月1日発行 5面より抜粋)

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