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新春特集 会社を継いだ経営者に聞く④


 戦後80年を迎え、道内の住宅不動産業界は、成長から成熟のフェーズに入っている。現在は高度成長期を支えた創業世代から、2代目や3代目の社長による経営が増加。先代の教えを受け継ぎつつ、新しい時代のニーズを捉えようと各社とも奮闘している。親族内で承継をした4社の経営者に現状や将来への思いを聞いた。


大進ホーム 星野社長



次世代を担う人材の成長が会社の未来を照らす


―受け継いだものは

 いろいろ引き継がせてもらってありがたかった。ひとつは社員。同業のお付き合い、人脈も紹介してもらった。そして協力会社、施工会社、お客様を受け継げた。

 父(現会長)は家では寡黙で、私は中学校から寮生活だったためあまり話す機会がなかったが、私が会社に入って以降、仕事についていろいろ意見を交わし、教わった事が多い。その上で、自分のやり方を見つけていかないと、という思いはある。社員と一緒にやっていけたら。


―今後新たに取り組みたいこと

 広報に力を入れ始めている。ただ、走り出してみて当社とこれまで取引がない不特定多数に知ってもらうことが難しいと実感した。かえって、自社のオーナーに対して広報活動をできていなかったと気付くきっかけになった。

 これまでオーナー向けに実施していたアフターメンテナンスやリフォームに加え、相談をもらっても外部に渡していた不動産買い取りや売却について対応するため、不動産事業部を立ち上げた。事業内容を知ってもらうような会報誌も作り、購入検討者なども含め四半期ごとに5000部ほど配布しようと考えている。


―将来設計をどう描いているか

 お客さまが家のことで何か困り事や相談事があるとなったときに、「そういえば大進ホームがあったね」となってお声がけいただく関係性を築きたい。そうした先で、今までわれわれが不特定多数として見ていた、まだ当社と関わりがない人たちに向けて、お客さまから評判を伝達してもらう流れができれば、最も強い広告効果が期待できる。

 札幌市内を軸に、まだやれることは多くあると思っている。拠点を置く東区をはじめ、既存オーナーに手厚くサービスを提供するつもりだ。


―達成のための課題と解決策は

 顧客のデータを整理し直そうとしている。今までは、顧客を訪問した社員各人だけで情報を保持していたが、それらを一元管理することで、訪問履歴や施工図面などの共有を目指す。24年11月末に社員へのシステム研修を終え、全面的に導入を開始したところだ。以前と違う社員が対応した場合や手元に図面がない時でも、端末上で確認する事ができる。お客さまに向き合っていることを実感してもらえれば。

 最終的には人と人のやりとりになる。社員には、知識・経験に裏付けされた建築のプロとしての提案力を備えて欲しいし、人間的にも魅力的になってもらいたい。値段や商品性は重要だが各社員にはそれ以上に大事なものを持っていてほしい。




(ほしの・こういちろう) 1977年札幌生まれ。2002年東大経済学部卒。大手証券会社を経て13年に同社入社。14年に副社長就任、15年より現職。



(第1127号 第1部 1月1日発行 3面より)

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