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想いを叶える親愛信託 85

  • 3月18日
  • 読了時間: 4分

更新日:4月28日

第85回「不動産価値と信託」



不動産価値の算定を信託の判断基準に


 信託を検討するときに一番重要なのは所有者の気持ちです。財産を持っている人が、その財産をどのようにしたいのかを法的に契約書などで将来においても実行できるようにするのが「親愛信託」です。


 ただ、それだけでは内容は決まりませんし、所有者もなかなか決断ができないケースが多いと思います。その時に一つの材料として、きちんと不動産価値を算定することです。


 “今の価値”がいくらか、意外と実際の価格を知らない方が多いです。不動産そのものの価値は当然ですが、将来を見据えた予想もある程度知っておくべきだと思います。思っているよりも高いケースと低いケースがあります。


 財産を動かす方法として、贈与、譲渡、相続、信託があると思いますが、その価値によっても選択肢が決まります。現在の価値がよくわからないままどれにするか検討するより、ある程度確実な価値がわかっていた方が決めやすいと思います。その価値によって、名義を変える時の登録免許税が決まります。


 信託や相続による名義変更の場合、登録免許税は原則として固定資産税評価額の0・4%です。一方、贈与や売買による移転では原則2%となり、別途不動産取得税がかかる場合があります。贈与税や譲渡所得税もかかります。 


 税金のために不動産を持っているわけではありませんので、それだけで考えることはないと思いますが、将来のことを決める判断材料になります。


リフォームと不動産価値の関係


 それから、リフォームや改装をどのタイミングでするかも判断材料になります。今、リフォームして快適に過ごすのがいいのか、将来誰かに貸したり、売却する直前にリフォームして価値を上げたほうが良いのか。相続してからリフォームするとその費用は相続税の対象になった金銭から払うことになります。リフォームしたらどのくらいの費用がかかるのか?というのを一度見積もりしてもらうと、今なのか、将来なのかの判断材料になります。


 信託を検討するのに不動産の売却額を算定したり、リフォーム費用を見積ったりまでする必要があるのか?と思うかもしれませんがそれをすることによって、売却や修繕の意思が固まりさらに信託の手法も決まってきます。


 リフォームしたほうが良いということになれば、金銭と不動産を受託者に信託して、受託者がリフォーム会社と契約し信託された金銭から支払いをします。所有者の意見を聞くことができるし、受託者が二次受益者になっていれば、受託者自身が引き継ぐものとしてリフォームすることができます。引き継ぐ方も持ち主の意見を聞けるので、安心して発注できますし、高齢な所有者が判断を誤ったり、詐欺などの被害にあう心配もありません。


不動産を有効活用できる親愛信託


 親愛信託は認知症対策にも使えますが、財産をきちんとした形で承継できるメリットがあります。受託者が事前に管理できるようになるので、自分が当初受益者の死亡で財産をもらったときによりよい形にしておいて承継することができます。これが遺言や相続だと自分がもらってからリフォームや改善をしないといけないので、選択肢が狭くなります。


 不動産の価値をしっかり把握して、どのタイミングでどのようにすることでメリットがあるかどうかを受託者が判断できるのは、非常に有効的な方法だと思います。情報が少ない高齢者が所有権を持っているよりも有効活用がしやすい形にできるのが親愛信託です。


 所有権のまま保有する場合と比べて、信託財産として管理した方が有効活用しやすいケースは少なくないのですが、それにかかる費用や報酬が見合ったものかを考えるために、不動産の価値とリフォーム費用や維持費用を一度しっかり出してみることをお勧めします。所有者にも不動産業の方にも建設業の方にもメリットがあると思います。




監修:特定行政書士 松尾陽子(まつお ようこ)

よ・つ・ばグループ協同組合 親愛トラスト理事長


略歴


16年1月ソレイユ九州発足、同年8月法人化し(一社)よ・つ・ば親愛信託普及連合に名称変更。17年9月協同組合親愛トラスト設立。現在は専門家向けの連続講座やZoomセミナーなどを通じて親愛信託の普及活動に励む。

著書に『理想・希望通りの財産管理を実現する!カップルのための「親愛信託」』(日本法令)、『ここまで使える!自己信託&一般社団法人を活用した資産承継・事業承継(河合保弘氏との共著)』(日本法令)などがある。



(第1153号 2026年4月16日 引用)








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