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想いを叶える親愛信託 70

  • hjsstanaka
  • 4月24日
  • 読了時間: 4分

第70回「外国籍と親愛信託」




外国人の財産手続き


 外国に国籍があり日本でずっと暮らしているという人が亡くなると、その人の持っている財産は外国の書類に基づいて、どの財産が誰のものになるかという手続きをしないといけません。日本のように戸籍がある国は、皆さんが思っているより少なく、日本と中国と台湾のみです。それ以外の国には戸籍が存在しません。戸籍に似た書類がある国もありますが、やはり、外国籍の方が日本に財産を所有していて亡くなると手続きが大変です。


 中には、外国籍のまま何代も日本に住んでいる人もいます。そうすると当然財産は日本に所有しています。しかし、亡くなったときの手続きとしては、戸籍がないので、その国の手続きに従って行わないといけません。そのためとても大変です。


 また、外国人の方が日本に財産を持つこともあります。その場合もその財産については、その人の国の書類に基づき、日本での手続きをすることになります。特に不動産をもっている場合には手続きが大変になります。


 日本の不動産の売買であるため、日本の手続きに従うことになります。ただ、戸籍のない国ですと誰が相続人になるかということを特定するのが大変です。日本では当たり前の住民票や印鑑証明がない国もたくさんあります。


 通常の相続の手続きでも大変ですが、相続人に外国人がいる場合や、外国人が日本に不動産を持つときはぜひ親愛信託を活用していただきたいと思います。信託財産になっている不動産の受益者が亡くなっても相続の手続きは必要ありません。信託契約書に受益権を引き継ぐ人が書いてあるので、死亡証明書などで受益者の死去が証明できれば、相続人を探したりする必要はありません。


 日本在住で相続人に外国籍の人がいる場合には、財産がその不動産だけどいうことはないと思うので、信託していない財産に対しては遺言を書くなど他の対策も必要です。


 やはり外国人の方が日本に不動産を所有する場合には、親愛信託の活用がおすすめです。


不動産購入時は親愛信託で


 外国人の方でも日本の不動産を買うことができます。しかしその方が亡くなったときの対策をしている人がどれだけいるでしょうか?


 法人名義だから大丈夫!と思っている方もいるかもしれませんが、法人が清算せずに解散してしまうと、その法人が持っている財産がそのままになってしまう可能性があります。日本人の方も、将来のために自分の財産は親愛信託を活用するべきですが、外国人の方はさらにそのメリットが大きいと思います。


 もし外国の方が日本に不動産を持ちたいという話が来たら、購入と共にぜひ信託の活用を進めてください。そうすることで、そのまま空き家になってしまったり、管理費を払わなくなって放置されてしまうリスクも減ります。そこに住むのであればまだいつも本人がそこにいるので、放置のリスクはないと思います。しかし拠点が海外にある場合はそのうち足が遠のいて、誰も訪れなくなるリスクがあります。所有権は絶対なので、所有権を持っているのが外国人だとどうしようもなくなる可能性があります。


 では、どのように親愛信託を使うかというと、方法はいくつかあります。管理費を何か月払わない場合は受益権を差し押さえることができるようにする。また受託者を交代することができるというような信託契約にしておいて、所有権で販売するけれども同時に信託契約も結ぶようにする。またはそもそも信託受益権を販売するかのどちらかになると思います。


 信託受益権を販売するためには第二種金融商品取引業の登録を受ける必要がありますが、例えば自己信託にして、当事者同士で受益権を売買すれば免許は必要ありません。


 それぞれいろいろなケースがあると思いますが、外国籍の人が現在若しくは将来関わることになりそうな場合にはぜひ親愛信託を活用することをお勧めします。





監修:特定行政書士 松尾陽子(まつお ようこ)

よ・つ・ばグループ協同組合 親愛トラスト理事長


略歴


16年1月ソレイユ九州発足、同年8月法人化し(一社)よ・つ・ば親愛信託普及連合に名称変更。17年9月協同組合親愛トラスト設立。現在は専門家向けの連続講座やZoomセミナーなどを通じて親愛信託の普及活動に励む。

著書に『理想・希望通りの財産管理を実現する!カップルのための「親愛信託」』(日本法令)、『ここまで使える!自己信託&一般社団法人を活用した資産承継・事業承継(河合保弘氏との共著)』(日本法令)などがある。


(第1127号 2025年1月1日より 引用)







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