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想いを叶える親愛信託 45

更新日:11 時間前

第45回「本当の意味の 認知症対策」



まだ対策は必要ないと思ったときが始めどき


 最近、「家族信託®」「民事信託」、そして「親愛信託®」というワードをよく聞くようになり、言葉だけは聞いたことがあるという人が増えています。認知症対策というイメージが定着してきていて、「私はまだまだ認知症なんかにはならないから信託は検討しなくていい」と思っている…実はその時が親愛信託を始める時なのです。


 誰しもが、いつ自分が認知症になるか分かりません。そして、認知症になっても本人は気が付いていないことも多いです。「なんだか最近物忘れがひどいな」と思って病院に行って診断を受けることもあると思います。でも逆に本人は物忘れがひどいと思っていても、病院では「異常ありません」と言われることもあります。


 周囲の人から「最近様子が変」と言われて病院に行くこともあると思います。そして、素直に行ってくれる時は良いのですが、少し認知症を発症していると「認知症を認めたくない」となり、病院に行ってくれなかったり、誰の力も借りずにこれまで通りの生活をしようと意地になってしまうこともあります。


 そして、もう少し認知症の症状が進んでしまえば「これは私のもの」と他の人が自分の所有物に関わることを嫌がってしまいます。でも、この時点では名前を言ったり、住所を言ったりなどはしっかりできますから、一般的には「判断能力はある」という状況なので、本人の意見を尊重しないといけなくなります。


 将来、本人も周囲の人も困ることが分かっていても、本人が納得してくれないとどうする事もできなくなります。もちろんすべての人がそうなるわけではありません。ただ、認知症の兆しが見えてくると普段とは違う言動をしたり、感情や判断が変わってくることがあるので、そうなる前にきちんと話し合いをしておく必要があるのです。


億劫に感じる年代になる前に実行する


「まだまだ60 代だから、70 代だから大丈夫」ではなくて、認知症の心配がなく思えても、将来に備えておく事が大切なのです。子や後継者と信託契約をして、名義が変わってもこれまで通りの事ができるようにしておけば良いのです。手続きをするための名義が変わるだけなので、財産そのものはこれまで通り使う事ができます。


 その証拠に不動産所得などの確定申告は名義を持っている子や後継者でなく、ご本人のものとして申告します。その事をしっかり分かってもらって、認知症対策が必要になる前に親愛信託を検討するのがベストです。高齢になると新しいことを考えることが億劫になってしまいますので、まだ、しっかりいろいろなことが考えられる時に実行しておく事が大切です。


 ただでさえ信託は「仕組みが難しい」と言われるのですから、高齢になればなるほど理解が難しくなります。認知症でなくても新しいことを取入れることが面倒になります。「スマホは使いたくない、ガラケーを使い続けたい」というのは、これまでと違う新しいことを覚えることが億劫という事ではないでしょうか。その気持ちも分かります。


  そうならないように、まだまだ環境の変化を十分受け入れられる早い段階で、自分の財産を信託財産にしておくべきなのです。名義が変わるだけで、これまでと変わらない財産との関わり方ができるのですが、どうしても名義を変えることに抵抗があるというのであれば「自己信託」で信託財産にしておきます。ただ、受託者はこれまで通りとはいかず、信託財産に対しての「義務」が発生します。これを自己信託にすると本人がしないといけなくなります。それを考えると信頼できる人に管理をお任せする契約信託の方が、本人の負担にならずに始める事ができます。受託者になる人もいずれ自分が行っていかないといけないことは早めに始めておいた方が楽です。このように本当に認知症対策が必要になる年齢になる前に親愛信託を検討することをお勧めします。



監修:特定行政書士 松尾陽子(まつお ようこ)

よ・つ・ばグループ協同組合 親愛トラスト理事長


略歴


16年1月ソレイユ九州発足、同年8月法人化し(一社)よ・つ・ば親愛信託普及連合に名称変更。17年9月協同組合親愛トラスト設立。現在は専門家向けの連続講座やZoomセミナーなどを通じて親愛信託の普及活動に励む。

著書に『理想・希望通りの財産管理を実現する!カップルのための「親愛信託」』(日本法令)、『ここまで使える!自己信託&一般社団法人を活用した資産承継・事業承継(河合保弘氏との共著)』(日本法令)などがある。


(第1086号 2022年12月1・16日合併号 より 引用)







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