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想いを叶える親愛信託 42

第42回「誰のための財産対策?」



親愛信託を活用して自分のための対策を


 長い人生のうち、若いころは「老後のために財産を増やさなければ」と頑張ります。そして、高齢になると「相続税対策をしなければ」と、今度は「財産を減らすこと」を頑張ります。自分の築いてきた財産を後世に遺すことはとても大切です。相続税対策として遺言を書いておくということは、自分のためではなく後継者のための行動です。もちろん大切なことですが、それとともに自分のための対策もしておくべきなのです。


 不動産を法人所有にして、将来に備えるというやり方もあります。この対策を取る場合、ほとんどが株式会社を設立もしくはホールディングスにするというやり方を使います。この場合、「その株を誰が持つのか」「誰に承継させるのか」「それが自分のためになるのか」という問題は解決できていません。


 自分のための財産対策! それが「親愛信託」なのです。自分の亡くなった後だけではなく生きてる間の財産対策ができるのが親愛信託です。自分の築いた財産を「どうしたいのか」「何に使いたいのか」それが明確に決まっているのであればそれを実現できるスキームにすれば良いのです。


 たとえば、「自分の財産は人に任せて、自分はその利益だけを持つようにしたい」ということであれば、受託者を信頼できる人にし、管理や経営はその人に任せて、自分は受益者になりその財産権を持つことにします。逆に「自分がしっかり財産に対して最後まで関わりたい」という事であれば「自己信託」にしておいて、万が一自分が管理できなくなった時のために「予備受託者」を決めておきます。そうすることで、認知症や高齢の心配をせずに、ぎりぎりまで自分で財産管理や経営をする事が可能になります。


 将来がまだ決まってない不確定要素が多い人も、自分で決められなくなっても自分の意思を引継いでくれるように信託財産にして準備しておいて、決められることを一つずつ決めていくというようなこともできます。


変化にも対応できる親愛信託の仕組み


 どうしても自分のことは後回しになってしまう経営者は多いのではないでしょうか。親愛信託を検討するに当たり、自分の財産整理をして、それから自分のためにはどうするのが一番良いのかを考えてみてはどうでしょう。考えるだけなら誰にも迷惑はかけませんし、親愛信託なら途中で変えることも可能です。最低限の生活ができる財産は信託財産にはせずに、それ以外を信託財産にして、「信託財産は自分が元気なうちにすべて使い切ってしまう」というスキームでも良いと思います。


 これが、自分で築いた財産ではなく、先祖から引き継いだ財産であれば話は変わってきます。自分が代々守ってきたこと、口伝で伝えられたことも後世に引き継ぐために、親愛信託を活用してきちんと文章にして法的に残しておくことができますので、そうすべきです。 


 今、ご自身が持っている財産の種類や内容によって、どのような親愛信託の活用が適しているか、ぞれぞれのケースで違うと思いますが、まず、「相続人のため」「相続税対策のため」ではなく、ご自身にとってはどのスキームが一番なのかを考えてみてください。


 自分の生きているときの対策が必要です。親愛信託を活用すると同時に、財産ではない契約行為や身上監護の部分は任意後見契約などを検討します。親族やご家族に適任な方がいなければ専門家に任意後見契約をお願いすることも可能です。ここでも大切なのは裁判所に任せるのではなく「自分のために自分で選ぶ」ということです。


 親愛信託は自分の生きている間、亡くなった時、その後々までも自分の決めたことが引き継がれていくという変化にも対応できる素晴らしい仕組みです。目の前にあることをこなすのが精いっぱいで、なかなか将来の事や現状分析ができない方こそ、親愛信託を検討してみていただきたいと思います。



監修:特定行政書士 松尾陽子(まつお ようこ)

よ・つ・ばグループ協同組合 親愛トラスト理事長


略歴


16年1月ソレイユ九州発足、同年8月法人化し(一社)よ・つ・ば親愛信託普及連合に名称変更。17年9月協同組合親愛トラスト設立。現在は専門家向けの連続講座やZoomセミナーなどを通じて親愛信託の普及活動に励む。

著書に『理想・希望通りの財産管理を実現する!カップルのための「親愛信託」』(日本法令)、『ここまで使える!自己信託&一般社団法人を活用した資産承継・事業承継(河合保弘氏との共著)』(日本法令)などがある。


(第1081号 2022年9月16日号 より 引用)







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