第12回「今の時代何が起こるかわからない。リスクに備えて」
自分の正解は何か考え 想定外の事態に備える
新型コロナウィルスの影響で、イベントや講演の中止が相次ぎ、学校も休みになりました。それに関連して運営がうまくいかなくなる企業も出てきています。そして、間違った…もしくは正確でない情報を信じてしまいトイレットペーパーがなくなったり、カップラーメンがなくなったり、マスクが非常に高価で取引されたりと数か月前にはだれも予想しなかったことが起きています。
もし、予知能力があり大量にマスクを仕入れていたら財を築くことができたかもしれませんね。倫理的問題は抜きとして…。現に何千万円もマスクで儲けている中国の若者がいるようですがこれも正しい情報なのかはわかりません。
大切なのは…
一.自分に必要な情報かどうか
一.正確な情報かどうか
一.正しいことと世の中で行われていることが違うことはありますので、何が自分にとって正解なのか
…ということです。
今回のように生活や健康に関することは最も大切なことです。そしてそれを維持、継続していくために必要なのが知識と財産だと思います。もちろんそれだけあればいいわけではありませんし、究極は財産も対策もすべて幸せのためなのだと思います。
そこで、財産についても、今回のように想定外のことが起こった時の対策をきちんとしていれば、何かが起こっても慌てることもないし、必要以上の損失が出ることもないということです。財産を増やすことも大切ですが、減らさない…つまりマイナスがないようにするということも大切です。
将来に備え信託を スタートさせておく
将来に備えて何か対策を取るときに、自分の計画通りに進んだ場合には困らないのは当たり前で、計画通りに行かなかった時にも困らないようにしておかないといけません。
たとえば、人が亡くなる順番です。ご夫婦と男兄弟の子2人の4人家族の奥様が相談者で「主人が亡くなって私一人になっても、子供や孫のために贈与を続けたいからどうすればいいか教えてほしい」という内容だとします。ご主人が先に亡くなることが前提です。笑い話のようですが、亡くなる順番を勝手に決めている人は結構多いのです。
認知症にならない前提の人にもよくお会いします。もちろん、そうなることが理想です。すべて計画通りに行くのが一番ですが、そうならなくても困らないようにしておかないといけません。計画を立ててない人もいます。老いることは考えたくない。自分がこの世にいなくなることも考えたくない。その気持ちはわかりますが、間違いなく毎日、老いは進んでいますし、必ず人生には終わりがきます。まず、自分の将来どのような老後を送り、どのように終わり、財産があれば誰に承継したいのかを考えます。
その時に親愛信託を使います。財産についてどのタイミングで、名義をのみを変更して管理を後継者に引き継ぎ、誰に財産権承継させるのかを決めておきます。ただ、順番通りになるとは限りません。遺言や贈与を使うと順番通りにいかなかった時に困ります。
そこで先ほどの相談者の例だと、ご主人が亡くなった後、ご主人の財産を奥様が相続し、ご自身の財産と合わせて子供・孫に贈与していきたいというようなご希望を叶えるため親愛信託を活用します。
順番が逆になるときの対策として、ご主人と奥様で信託契約をしてもらい、ご主人の後を奥様に指定しておき、そのあとも決めておきます。長男さんにしておきます。そうするとご主人が亡くなった時にすでに奥様がいなければ奥様の後になっている長男さんが繰り上がるようにしておけばよいのです。
もしくは、ご主人が認知症になり、信託契約の変更が出来なくなった場合でも代わりに次男さんが変更できるようにしておけば、順番が変わったり、状況がかわっても、それに応じて信託契約を変更すればよいのです。今、まだ決めかねているのであれば、信託なら、将来引継ぎ人を決める方法を決めておくこともできます。大切なのは将来に備えて、信託をスタートさせておくということです。
監修:特定行政書士 松尾陽子(まつお ようこ)
よ・つ・ばグループ協同組合 親愛トラスト代表
略歴
2015年行政書士まつおよう子法務事務所開業。
16年1月ソレイユ九州発足、同年8月法人化し(一社)よ・つ・ば親愛信託普及連合に名称変更。17年9月協同組合親愛トラスト設立。現在は専門家向けの連続講座やZoomセミナーなどを通じて親愛信託の普及活動に励む。
著書に『理想・希望通りの財産管理を実現する!カップルのための「親愛信託」』(日本法令)、『ここまで使える!自己信託&一般社団法人を活用した資産承継・事業承継(河合保弘氏との共著)』(日本法令)などがある。
(第1030号 2020年3月16日発行 より 引用)
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