【連載】想いを叶える親愛信託 1 

更新日:4月19日

第1回目 「親愛信託とは」


平成19年に信託法改正


 「信託」と聞くと多くの人が「信託銀行」や「投資信託」などを思い浮かべるのではないでしょうか? そのほかでは、「民事信託」や「家族信託®」という言葉も聞いたことがあるという方もいらっしゃると思います。

 今まで聞きなれなかった信託が、最近じわじわと普及してきています。ただ、携帯電話が普及し始めたころに、本当はiPhoneもスマホの一種なのに「私が持っているのはスマホじゃなくて、iPhoneだから」と言っていたように、普及が定着するまではあいまいな使い方をすることも多く、「何のことだかよくわからない…(;_:)」と戸惑う人もいるのではないでしょうか?


 まず、「信託銀行」や「信託会社」は業として行われる商事信託と呼ばれるもので、信託業法により免許を持つものや登録を受けたもの、また金融行為として認可を受けたもののことです。

 私たちが活用している「親愛信託」や「民事信託」、「家族信託®」と呼ばれるものは、信託を業として行っている商事信託と違って、信頼関係のもとで行われるものです。


 平成19年に信託法が改正され、投資を目的とした商事信託だけでなく、一般の方同士で行う新しい形の信託が可能となり、また自己信託というものもできるようになりました。この改正後しばらくして、相続問題や認知症の対策ができると注目されるようになってきました。


「親愛信託」という呼び方は、実務を行っていくうえで生まれたものです。ご相談を受ける中で、「民事信託」に関しては、民事裁判や民事事件というものを連想し、争いごとを考えてしまう。


「家族信託®」に関しては、

「私には家族がいないので信託はできないのでしょうか?」

また「信託の契約は何親等以内の人と出来るのでしょうか?」

というような質問を受けることがあり、何かもっと適切な言葉はないかと考えた結果、

「親愛信託」と命名しました。


複雑化する相続関係


 信託とは財産を持っている人が、信頼できる人に自分の財産を託すという行為になります。財産を託された人はその財産の管理や処分、次に適切に引継げるようにする役目をすることになるのですが、基本的には無報酬で行います。その行為は、親が子のためを想い無償の愛で愛情を注ぎ育児をし、それに対して子供が親のことを何の疑いもなく信じているようなものです。

 民法上の家族や戸籍に関わらず、自分の信頼できる人同士の間で成立するのが、親愛信託です。もちろん、戸籍上の関係にこだわらないというだけで、家族や親子で信託契約することが多いです。ただ、信頼できる人が親族だったというだけで、戸籍上の親族でないといけないというわけではないのです。


 なぜ親愛信託が必要になってきたかというと、これまでは法定相続でもさほど問題がなかったものが、離婚や再婚を繰り返したり、全く結婚しない、子供がいない、子供を作らないなど、さまざまな事情で相続関係が複雑になり、長生きも手伝って以前は少なかった争いごとが増えてきています。

 長生きと離婚の増加は関係がある。人生60年の時代は、結婚して40年、我慢すればよかったけど、人生90年の今は、晩婚とはいえ、結婚して60年も我慢しないといけなくなってきているので、離婚が増えているのではないかと言っている方がいて、なるほどと思いました。


 このように法定相続という仕組みが時代の流れに追い付いてきていないのです。そして、いろいろな事情が複雑に影響して、「争続」になってしまうのです。結果、争いごとになってしまったとしても、本心は、争うことを望んでいる人はいないと思います。純粋な親子の愛のように思いやりの心で財産の事を考えてほしいという想いも「親愛信託」には込められています。



監修:特定行政書士 松尾陽子(まつお ようこ)

よ・つ・ばグループ協同組合 親愛トラスト代表


略歴


2015年行政書士まつおよう子法律事務所開業。

16年1月ソレイユ九州発足、同年8月法人化し(一社)よ・つ・ば親愛信託普及連合に名称変更。17年9月協同組合親愛トラスト設立。現在は専門家向けの連続講座やZoomセミナーなどを通じて親愛信託の普及活動に励む。

著書に『理想・希望通りの財産管理を実現する!カップルのための「親愛信託」』(日本法令)、『ここまで使える!自己信託&一般社団法人を活用した資産承継・事業承継(河合保弘氏との共著)』(日本法令)などがある。


(第1010号 2019年4月16日発行 より引用)

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